花菖蒲と英霊

靖國神社権宮司 坂 明夫

明日の我が身の運命が分からない、そんな厳しい戦地でも兵士は花を愛でるやさしい心をお持ちだったという。「梅と兵隊」を始め花と兵隊を歌った軍歌も多い。花を踏むのを避けて遠回りして行軍した、という戦地からのお手紙もある。
さて、花菖蒲はというと、原産国は日本とのことである。戦地で見ることは少なかったかも知れないが、似たような花を見ては「我が故郷の花菖蒲の方が美しい」と故郷自慢の話しをしたのではないだろうか。
御祭神になられてからは毎年六月になると境内での花菖蒲を楽しまれておられる。御奉納は本年で五十五回を重ねる。五十四年前は昭和三十九年開催の東京五輪に向けて日本中が高度成長していた時である。そして間もなく再びの東京五輪である。再び日本が活気あふれることを期待する。
明年は改元が行われる年であり、靖國神社の御創立百五十年でもある。今後とも花菖蒲会の皆様が丹精籠めて育成された花菖蒲の奉納展が末永く開催され、英霊の御心を慰め、内外の人々の目を楽しませてくれるであろう。

「情のある花を育てる」東京花菖蒲会

東京花菖蒲会会長 小林孝也

第55回東京花菖蒲会ご奉納花菖蒲展が靖國神社の神前におきまして平成30年6月8日から10日間開催されます。
第1回奉納花菖蒲展が昭和33年6月に開催されてから60年の月日が経ちました。今年も奉納花菖蒲展が開催できますことを感謝し長きにわたり会を支えていただきました皆様に御礼申し上げます。
今年も会員の皆様が丹精をこめて培養した花菖蒲をご祭神、英霊に献花が出来、靖國神社ご参拝の日本全国のご遺族様、並びに見学観覧の各種団体の皆様、千代田区民等の皆々様にご観賞いただけることは会員として喜びに堪えません。
日本初の東京五輪が昭和39年に開催されてから、2年後には二回目の東京五輪を迎えようとしています。世の中が変動しても東京花菖蒲会の目的である鉢作りの花菖蒲作りに専念し、靖國神社様から展示会場をご提供いただき護国のために殉死せられたご祭神に献花を続けて参りました。花菖蒲は、日本古来の花ではありますがアメリカやヨーロッパ諸国にも伝わりたくさんの種類の花が咲いています。
しかし、日本の花菖蒲、東京花菖蒲会が他とは決定的に違うことは「情のある花」であることです。作り手が「情のある花を育てる」ことを目的とするからです。この花の美しさは、「はなびらの垂れて静かや花菖蒲」と、俳人高浜虚子が詠みました、4号鉢にすっきりと伸びやかな葉につつまれて濃紫、淡紫、白絞りなどの色どりの花が二つ三つと咲き誇るからです。
都会で花菖蒲を育てるには、陽が当たらなくてはなりません。都心はビル化、マンション化により、日光を得ることが難しく、育てることは厳しい環境になっております。
今回、靖國神社ご参拝者や日本に来られる海外の方に日本古来の花、花菖蒲を見て頂き、花菖蒲の素晴らしさを理解していただくため、会員のコミュニケーションを図るため、独自の東京花菖蒲会ホームページの作成を致しました。会長としては、花菖蒲を通して、日本の伝統を大切に外来種でない日本古来の花、花菖蒲で靖國神社のご神霊をお慰めするとともに花菖蒲を育てる事で都心の半日、陽の当たるまちづくりを進めたいと考えております。皆様におかれましては、このような事情をご理解いただき花菖蒲展を続けられますよう積極的な新規会員の獲得をお願い申し上げます。
どなた様でもいつでもご入会は歓迎いたします。

東京花菖蒲会の年間スケジュール